RELAXASION

リラクゼーション


いたわる時間

小さい頃、親や祖母にマッサージをして「あんたはマッサージが上手やね」と他の子供と同じように褒められて(今思えばそそのかされて)育ちました。子供心に誰かの役にたっていることが、単純に嬉しかったことを憶えています。

医療系の専門学校から病院に就職して、あまり馴染めず退職。将来を見定めている数年後のある日、街の看板広告を眺めていると、ふとリラクゼーションの文字と写真が目に飛び込んできました。「これを仕事にしよう」とすぐに思いました。ジムに通ったり、セルフメンテンナンスを熱心にしていた当時の僕は「将来、リラクゼーションマッサージが予防医学に必要な時が来る」と直感しました。

医療の知の巨人たちが言うように、身体やこころの15%から20%しか現代医療はわかっていません。最新の遺伝子、科学的にデータ化されたケア方法が「魚のたも網」のあみ部分だとしたら、獲物を捕まえるときにどんなに精密に網の目を細かく細かくしても、すくうと水と一緒にこぼれ落ちてすくいきれないものがあります。このこぼれ落ちるものを「丁寧に手ですくい上げ、ケアしていく」これがリラクゼーションマッサージの僕のイメージです。

お客さんが最初に来店されたときに多い会話で「ここがツラい(ちょっと痛い)けど、病院行ってもよく分からんだ」という言葉です。もちろん病院はだめだとか、病院は行くなみたいな話では決してなく、多くの場合は実際に「わからない」ですし、病院は病気やケガになったものに対応していく機関なので、フィールドが全然違います。リラクゼーションマッサージはこの「わからない」部分とつらいとかちょっと痛いとかの病気やケガになる前の状態に光を当てます。

自律神経を整えたり、固まりやすい部位をリリースし疲れに対して未然にケアすることや、お客さんと一緒に「魚のたも網」片手に一緒にすくいあげ、すくいきれないものを手ですくって「一体全体これはどうなっているんだ?」とああでもないこうでもないとお客さんの独自の考え方に耳を傾けたり、僕が仮説をだしたりして一緒に「考えるプロセス」に最大の価値を感じます。もしかしたら、この考えるプロセスが「身体をいたわる」時間なのではないでしょうか。

スピリチュアルに偏り過ぎず、しかし科学データにも偏らずしっかり身体の状態を(時間はかかりますが)見つめ、お客さん自身が知り、最後はより健康的なリラックスした愉しい日常づくりのお手伝いができると信じています。

お客さんに帰り際「身体が軽くなった」「明日からもがんばる」「気持ちが良かった」と声をかけて頂くことがあります。少しは誰かの役に立ったかなと、小さい頃マッサージをしたときのような嬉しい気持ちがこみ上げて、よし、もっといい仕事をしようと思える原動力になります。